ジャパンオープン2006を見て思ったこと

全日本選手権や世界選手権などの放送権がTBSからフジテレビに移り、それまでよりもさらに商業主義で視聴率重視の放送が行われるようになった。
それとともに女子シングルの層の厚さと強さが多く報道され、世はまさにフィギュアスケートブームを迎えた。各局が争ってフィギュアスケートを放送するようになる。
NHKはもとよりNHK杯を主催していたこともあり、グランプリファイナルの放送も行っていたのだが、なぜか2005年の東京グランプリファイナルはテレビ朝日系が放送権を獲得していた。
そこでゴールデンタイムに過剰な演出の放送が行われ、また代々木第一体育館は満員の観客で埋め尽くされた。
年末の全日本選手権とエキシビションはフジテレビが放送し、さらに過剰かつ偏重的な放送となった。
そしてトリノオリンピックでの荒川選手の金メダル獲得という至高の時代を迎えた。
凱旋公演やエキシビションが3月4月に各地で開催され、「フィギュアスケートを生で観たい」方も増えたところに、5月のジャパンオープンinさいたまスーパーアリーナ。
私は競技会の生の雰囲気を久々に味わえることに期待を込めて、さいたまへ行った。

競技会が始まる。
まずは男子シングルの6分間の練習。滑走順紹介が先だったか、審判団紹介が先だったかは忘れてしまったが、その違和感を感じてしまった。

テクニカルコントローラーやスペシャリストたちの名前が紹介され、彼らは立ち上がって手を振ろうとしたが、会場中の関心は氷上の選手たちに向けられていて、拍手や歓声のタイミングは完全に選手の動きに対応していた。
戸惑いながら着席する審判団。
確かに、審判団に贈られる拍手はあったが、あくまでそれはごく少数派のように感じた。
「アシスタントテクニカルスペシャリスト、岡崎真さん!」
私は思わず声を上げて拍手したが、逆に周囲の人に怪訝な目をされた。
2005年10月のジャパンインターナショナルチャレンジでは、少なくともペトレンコや岡崎さんたち審判団に拍手は贈られていた。

審判団への拍手が異様に少なく感じられるほど、さいたまスーパーアリーナの観客は観戦歴が浅い人が多かったのかもしれない。
お気に入りの選手の練習状態に注目することも大切だが、審判団への敬意を示すことも大切であると、私は考えている。
選手たちと同じく審判団も世界各国からやってきて、今回は二時間近くもリンクのすぐ傍でジャッジングしていたのだから、審判団にも暖かい拍手を贈ってほしいと思う。
拍手には「あなたのジャッジングに期待しています!」「正しいジャッジングを!」という意味も込めて贈ってほしい。

それにしても、ジャパンオープンのあの貧相な拍手というか大多数の観客が審判団を無視していたことに、私は今でも憤慨している。

 

 

最終更新: 06/05/28 Sun, 1:36